赤岳鉱泉行者小屋

お知らせ

南八ヶ岳近況報告20230310

March 10, 2023

美濃戸口〜赤岳山荘 (美濃戸林道)
積雪0cm〜積雪2cm
林道の8割が夏道に戻っていて、地面のぬかるみが掘れてしまい、軽い落とし穴になっています。
坂や日陰にスケートリンクのような凍結箇所が点在しています。
登山者の方には、チェーンアイゼンまたは12本爪アイゼンを適宜で装着することを推奨します。
車で赤岳山荘まで上がる方は、まだ凍結箇所が点在しているので、4輪駆動車に金属製タイヤチェーンを装着することを推奨します。

◆赤岳山荘〜堰堤広場
積雪3cm〜積雪10cm
坂や日陰に凍結箇所が点在しています。
チェーンアイゼンまたは12本爪アイゼンを適宜で装着することを推奨します。

◆堰堤広場〜赤岳鉱泉
積雪5cm〜積雪20cm
トレースが有ります。気温が上昇して雪が腐ると、チェーンアイゼンに雪が絡みついて、チェーンアイゼンの効果を発揮できなくなることがあります。または橋の上に積もっている雪がナイフリッジ状に解けていき崩壊する危険性が有ります。橋から滑落して沢に落下すると大怪我を負う可能性も有りますので、十分にお気をつけください。

◆赤岳鉱泉
積雪15cm〜積雪100cm

真夜中から午前にかけて、堰堤広場(標高1900m)から下では雨が降りました。

堰堤広場から上、赤岳鉱泉 (標高2220m)では、降雪が有りました。

湿った雪質の新雪が赤岳鉱泉周辺で、10cm〜20cmと予想以上に増えました。

久しぶりに3月らしい冬景色を楽しめますが、明日からまた季節外れの気温が上昇する予報です。

赤岳鉱泉から上の一般登山道の斜面や中岳沢などの沢筋、アイスクライミングエリアやバリエーションルートに続く斜面や沢筋では、雪崩発生の可能性が高まります。

赤岳鉱泉から上にはどのくらいの新雪が増えているのか詳細の情報は入っていませんが、今回の降り積もった雪が落ち着く、または雪崩が発生して今回に降り積もった雪が落ちきるまでの数日間は、赤岳鉱泉から上に点在している雪崩が発生するリスクが高まっているエリアへの立ち入りは、率直にやめたいというコンディションですね。

この地で小屋番を生業として日々の移り変わりを見ている私(小屋番四代目) のあくまでも個人的な意見です。

この時期、この雪質、これから気温で発生する雪崩の威力は本当に恐ろしいですから。

もう少しで1年が経とうとしていますが、文三郎尾根で発生した春の雪崩により大切な山の仲間を失ったあの悲しい記憶を今も忘れることは無いです。

微力ながら日頃より遭対協の山小屋班として救助活動に携わらせていただいていますが、人の死を幾度となく目の当たりにしてもこの状況に慣れることは無いですし、この感情をこの南八ヶ岳で誰一人として味わってほしくないと切に願います。

明日から数日間は様々なリスクが潜んでいて注意することが多いですが、安全登山で春の南八ヶ岳を楽しんでください。

この記事のリンクを開く
お知らせ一覧へ